2014.06.17(火)
中野市の飲食店で
カンピロバクター
食中毒が発生

 北信保健所は17日、中野市内の飲食店「なる亀屋」を食中毒の原因施設と断定し、この施設に対し6月17日から6月20日まで、4日間の営業停止を命じた。
 患者は5月25日にこの施設で食事をした1グループ3名中の3名(中野市在住)で、長野保健所が行った検査により、患者便及び調理従事者便からカンピロバクターが検出された。なお、患者1名が現在も入院中だ。
 この食中毒は6月13日、北信保健所に患者から「5月25日夜に中野市内の焼鳥店を利用したところ、 5月29日頃から下痢、発熱、おう吐等の症状を呈した」連絡があった。
 北信保健所による調査結果によると、患者は5月25日にこの施設で食事をした1グループ3名中の3名で、5月29日午前6時頃から下痢、発熱、腹痛等の症状を呈していた。
 患者はこの施設で調理された食事を共通して喫食していたこと、長野保健所が行った検査により、患者便及び調理従事者便からカンピロバクターが検出されたこと、患者の症状はカンピロバクターによる食中毒の症状と一致していたこと、患者を診察した医師から食中毒の届出があったことから、北信保健所はこの施設で調理された食事を原因とする食中毒と断定した。
 参考までに患者らへ提供された主なメニューは、もやしのゆかり和え、アボガドのせ豆腐、漬物盛合せ、焼鳥(明太マヨネーズ ささみ、レバー、ねぎま、もも、なんこつ、皮、生キャベツ)、ポテトサラダ、 黒ゴマアイス、ビール、梅酒、サワー等だった。
 長野県内(長野市含む)における食中毒発生状況(本件含む)は、平成26年度 (内 長野市)5件 (1件)406名 (8名)、平成25年度 (内 長野市)20件 (3件)542名 (33名)となっている。
 カンピロバクターによる食中毒の特徴。カンピロバクターはニワトリ、ウシ、ブタなどの腸管内に存在している。これらの家きん、家畜を、食肉として解体する際に、処理された食肉の表面を汚染すると考えられている。中でも鶏肉は高率にこの菌に汚染されている。
 従ってカンピロバクターは、熱や乾燥に弱く、常温の空気中でも徐々に死滅するが、他の食中毒菌に比べて少量でも食中毒を起こすという特徴がある。また、食肉を生や加熱不足で食べることにより発生することが多く、特に注意が必要な食中毒原因菌。 この他にも野生動物などに汚染された沢水や井戸水などにおける消毒の不備による水系感染もある。
 症状は潜伏期間が1〜7日(平均2〜3日)と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気などの症状が現れる。また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されている。特に幼児や高齢者など体の抵抗力が弱い方は、重篤な症状となることがあるので注意が必要だ。
 予防方法は、鶏肉などを調理する際は、十分に加熱調理し、生では食べない。また、生肉を扱った手やまな板、包丁などはカンピロバクターが付いている可能性があり、きちんと洗浄・消毒しないと他の食品を汚染してしまうことがある。これらの生肉を扱った調理器具等は必ず洗剤でよく洗ってから、熱湯や塩素系の漂白剤などで消毒する。
 焼肉などをするときは、なま焼けに注意するとともに、生肉用の取り箸と食べるための箸を使い分ける。沢水や井戸水を使用している施設では、衛生管理を徹底し、塩素消毒が実施されていることを確認する。