2015.02.26(木)
観光地ビジネス創出の総合支援
「タビの産直イチ」
タビイチグランプリ表彰式を実施

 国土交通省観光庁では「観光地ビジネス創出の総合支援事業」として、国内の新しい観光地づくりの取り組みを応援し、今までにない観光地の魅力開発と旅行商品化を推進している。今年度は全国公募の中から選定された全国各地の45地域が「タビの産直イチ」プロジェクトに参加し、モニターツアーや商談会、ビジネス化に向けたノウハウを学ぶことができる研修の実施などを通じて、観光資源の確実な商品化を目指すとともに、自立した観光地づくりを目的としたビジネスモデルの構築に取り組んでいる。
 この度、本事業の一環として本プロジェクトに参加している全国45地域が提案する今までにない新しい“タビ”の中から最も優れたプロジェクトを決定する「タビイチ グランプリ」を創設し、その結果を発表する表彰式を2月26日(木)にベルサール秋葉原で開催した。
会の冒頭では主催者を代表して、国土交通省観光庁次長の山口裕視(やまぐち ゆみ)からご挨拶をさせていただいた。
 「昨年は1341万人の海外からのお客様を日本にお迎えすることができました。また、年間の消費も2兆円を超え、大きな成果があがっていることで、観光の社会的な注目度も上がってきたと感じています。ただ好調な一方で、海外からお見えになるお客様の多くは日本の本当に限られたところ、いわゆるゴールデンルートと言われるような限られたところにしか多くの方にはいらしていただいていないというのが実情です。また国内の旅行市場においても、依然として厳しい状況が続いてるというのが私どもの課題認識でもあります。
 こうした中で観光庁といたしましても国内外の旅行者の皆様を全国津々浦々各地域に旅行していただくために、地域の特徴ある観光資源を活用した世界に通用する観光地域を作り上げていきたいと考えています。そのため昨年度は全国78地域を対象に魅力ある旅行商品づくりを支援し、また、今年度はその中から45に地域を絞り込み、それぞれの地域が自立的に観光地域づくりを続けられるようにビジネスモデルを構築するための支援をしてまいりました。こうした取り組みで全国のモデルの模範になるような地域を作っていただきたいという強い思いがございます。
 本日の表彰式はこうした2年間のある種の決算として、特に取り組みが素晴らしいという地域を表彰させていただくものです。受賞地域に限らず、各地域の方々におかれては外部の方の視点も入れて、いかに磨き上げるか、伝えるかということに今までも、これからも取り組んでいただきたいと思います。私どもも、日本を伝える、発信するという中で、どうしても供給者目線になりがちですが、いかに実際に旅行に来ていただく方の視点を取り込んでいくことは本当に大切な課題だと思っています。
 各地で旅行商品が造成されたり、マスコミで取り上げられたりと2年間の成果が実り始めています。私どもは2020年に2000万人というお客様の目標を持っておりますが、この年は東京オリンピック・パラリンピックの年でもありますので、こういったことも見据えたインバウンドへの取り組みも積極的に進めていただければと思います。この事業は総決算と申し上げましたが、あくまで最初のきっかけだと思っています。各地域におかれましてはこれで終わり、ゴールではなく、これからもっと発展的に取り組みを続けていただいて、全国のそして地方創生のモデルになっていただくことをお願いしたいと思いますし、心から応援させていただきます」

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 その後タビの産直イチの事業概要を、観光庁観光地域振興部 観光資源課係長の塚本博からご説明させていただいた。
 続いて授賞式が始まった。まず発表されたのはプレゼン部門。この賞はタビイチの研修会において東日本、西日本其々で地域の皆様にプレゼンテーションを実施していただき、その成績が優秀だった地域に送られるものである。東日本の受賞地域は「中央区観光協会」、西日本の受賞地域は「須磨観光協会」。

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【プレゼン部門西日本第1位】須磨観光協会

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【プレゼン部門東日本第1位】中央区観光協会

 次に発表されたのは一般投票部門。この賞はタビの産直イチのホームページで紹介された各地域の取り組みに対して、一般の方から「いいね」を投票していただいた結果を集計し、その成績が優秀だった地域に送られる賞。発表は各賞3位から行われた。3位は「Tatton事務局」、2位は「カワイイ北海道ツーリズム推進協議会」、そして1位は「福岡やるばい観光!人とまちづくり協議会」となった。
 次に発表されたのは旅行ジャーナリスト部門。この賞はプレスリリースの講評得点に加え「日本旅行記者クラブ」に加盟されているジャーナリストの方々からの投票を得点化した、いわば旅行のプロの厳しい審査眼を満足させた取り組みを行った地域に送られるもの。3位は「久慈(くじ)広域観光協議会」、2位は「八ッ場(やんば)ふるさとエコツアー実行委員会」、そして1位はプレゼン部門の1位に続き「中央区観光協会」。
 最後に発表されたのは総合部門「タビイチグランプリ」の発表。この部門は一般投票やメディアでの露出数、期間中のホームページの更新を含めた情報発信の実績等を総合的に評価し、特に優秀な地域提案者に対して贈られるも。3位は「須磨観光協会」、2位は「防府市(ほうふし)観光資源活性化協議会」、1位は「別海町(べつかいちょう)観光協会」であった。
 山口次長から表彰され、別海町(べつかいちょう)観光協会の松本さんは「別海町では小学校で観光の授業があり、観光について学習する機会がございます。そのような背景もある中で、私たちだけでなく、15800人の住民と12万頭の牛と一緒にこの受賞を喜びたいと思います」とコメントした。
 授賞式の最後には、今回の「観光地ビジネス創出の総合支援事業」の主催である観光庁観光地域振興部 観光資源課 ニューツーリズム推進官水口幸司より、総評をお話しさせていただいた。
 「今回受賞された地域の環境資源に注目させていただくと、歴史•文化•グルメといった王道のものも当然ありますが、震災からの復興に寄与するような取り組みや、ダムのようなこれまで観光資源だと思っていなかったようなものを取り上げているもの、またはテレビなどのロケ地を観光資源にするといった新しい体験型のツーリズムに取り組んで頂いているものも多く見受けられました。このような観点からは、有名な観光地を持っていない地域においても工夫次第で魅力的な旅行商品ができるのではないかと思いました。また、今後はこういった商品についてはモニターツアーにとどまらず、旅行商品を少しでも多く具体的に作成して欲しいと思います。
 総合部門で受賞した別海町の取り組みにつきましては、プロジェクトの中身はもちろん魅力的でしたが、取り組みの過程でもマスコミへの露出が多く、情報発信を行うホームページの更新も頻繁に行っていただきました。お金をかけずにプロモーションにつなげること、ホームページやSNSでのこまめな情報発信はほかの地域の皆様にも参考にしていただきたいです。
 また、今回は継続的•自立的に取り組むためのビジネスモデルの構築にもチャレンジしています。お土産などの物販、特産品を生かしたグルメの開発、グッズの販売、各種イベントのチケット販売など、各地域で工夫を凝らして収益をあげることにも着目して頂きました。大切なのはこの収益を今後の旅行商品のさらなる磨き上げにも使いながら、また商品をつくって常に検証しながらPDCAを回していくということだと思います。是非、今回受賞されなかった他の地域の取り組みにも注目していただき、これからの参考にしていただきたいです」

 授賞式の後には、受賞した9地域のプレゼンターたちが各々の地域での取り組みや魅力を改めて来場者たちに向けて発表し、盛況のうちにタビイチグランプリ表彰式は終了した。
 この件に関するお問い合わせ先はタビイチ統括事務局(電通PR内)担当:宮鍋まで(電話03-5565-6478)。