2017.05.01(月)

「飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所」竣工
国内初のFIT制度を利用した((株)洸陽電機)
小型高効率木質ペレットガス化熱電併給を開始

 飛騨高山グリーンヒート合同会社(岐阜県高山市、岡田贊三代表取締役会長、谷渕庸次代表取締役社長)が飛騨高山において建設を進めていた「飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所(以下、同発電所)」が完成し、4月28日に竣工式を執り行った。
 竣工式には高山市長の國島芳明氏を初め、地元関係者、工事協力会社など、約30名が出席した。神事に続き行われた通電式では、発電所の運転ボタンが押されると同時に、バイオマス発電所のガス化炉からガスがエンジンに供給され、発電が開始された。
 

飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所竣工式
 
 同発電所は、設備設計•施工を(株)洸陽電機(本社兵庫県神戸市東灘区、乾正博代表取締役社長)が担当し工事を完成したもの。発電設備にはブルクハルト社(独)製の小型高効率木質ペレットガス化熱電併給システム(以下、本システム)を採用し、電気と熱を活用する再生可能エネルギー発電事業を推進する。国内での本システムの導入は群馬県上野村に続いて2例目で、FIT制度を利用した小型高効率木質ペレットガス化熱電併給システムの導入は国内初となる。
 高山市は市内の92%を森林が占める日本一森林面積の広い市で、数年前から森林資源の活用を進めてきた。この事業は市からの事業支援と県の補助事業を活用し、両者の協力を得て完成に至った。
 発電燃料である木質ペレットの供給は、木質燃料(株)(本社岐阜県高山市、清水ますみ代表取締役社長)が行い、高山市近隣から集めた地元材を活用することで継続した雇用創出を可能にしている。
 本システムの導入により、未利用木材を加工した木質ペレットを発電燃料として利用することができ、発電の際に生じた熱を温浴施設「宇津江四十八滝温泉しぶきの湯 遊湯館(以下、遊湯館)」に供給することで、オンサイト型の熱電併給システムの構築を実現した。本システムの発電効率は30%で、熱利用も含めると総合エネルギー効率は最大で75%になる。遊湯館への熱販売により、ボイラーで使用する灯油を年間約124kl削減できる。
 年間発電量は約126万kWh、内送電量は約120万kWhを見込んでおり、これは一般家庭約368世帯分の年間消費電力に相当(※1)する。発電した電力は固定価格買取制度(以下、FIT制度)を利用し、中部電力(株)へ全量売電する予定だ。
※1.世帯当り3,254.4kWh/年で算出 出典:電気事業連合会『原子力・エネルギー図面集2015』
 

しぶきの湯 遊湯館での熱電併給イメージ(写真提供:三洋貿易(株))
※三洋貿易(株)はブルクハルト社の日本総代理店
 
 高山市は「高山市新エネルギービジョン」(平成26年度~平成32年度、平成26年3月発表)に基づき、地熱や小水力などの再生可能エネルギーの導入拡大を目指している。この事業もそうした取り組みの一環として、高山市の再生可能エネルギーの普及を促進させ、豊かな自然と人が調和した持続可能なまちづくりに寄与していくとしている。
 
【飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所の概要】
(1)発電所名:飛騨高山しぶきの湯バイオマス発電所
(2)設置場所:岐阜県高山市国府町宇津江964
(3)事業者:飛騨高山グリーンヒート合同会社
(4)定格出力:165kW(最大出力181.5kW)
(5)年間発電量:約126万kWh(見込み)※このうち送電量は年間約120万kWh
(6)設備設計・施工:株式会社洸陽電機
 
 ちなみに(株)洸陽電機(URL http://www.koyoelec.com/)は電気•ガス業で、本社を兵庫県神戸市東灘区住吉宮町3-7-14に置く。電話番号は078-851-8819、代表者は乾 正博氏、上場は未上場で、資本金は3億6725万円となっている。