2017.01.13(土)

長野県小谷村で「人口減少社会」に向けて

情報連携基盤を構築、長野県行政で初めて

Sigfoxを活用、より魅力のある村づくりへ

  小谷村役場(北安曇郡小谷村、松本久志村長)とKDDI(株)(本社東京都千代田区、田中孝司代表取締役社長、以下KDDI)、KCCSモバイルエンジニアリング(株)(本社東京都港区、金炯培代表取締役社長、以下KCME)は、IoTを活用して各種情報を収集し、住民の健康状態や相談事を役場や医療•福祉関係者で共有可能な「生活支援情報連携システム」を構築し、1月下旬より実証事業を開始する。
  小谷村の人口は、1980年の5,165人から2010年には約4割減の3,221人に減少している。この実証事業は、小谷村の今後の「人口減少社会」に向け、在宅医療/介護、健康増進、生活相談の分野で、「全世代の暮らしやすさ」に寄与し、人口減少問題を克服することを目的としている。
  このシステムは小谷村役場の受託事業者(注1)に選定されたKDDIが、KCME、(株)日立製作所(本社東京都千代田区、東原敏昭執行役社長兼CEO、以下日立製作所)、(株)日立ソリューションズ(本社東京都品川区、柴原節男取締役社長、以下日立ソリューションズ)、オムロンヘルスケア(株)(本社京都府向日市、荻野勲代表取締役社長、以下オムロンヘルスケア)とともに、構築•運用するものだ。
  IoTを活用して新たなデータを収集するとともに、これまで分散していた健康や介護に関する情報を一つの基盤に集約•連携させる。これにより役場や医療•福祉関係者は、住民の最新の健康状態や介護に関する状態を確認出来るため、在宅医療•介護に役立てる事が出来ます。加えて、住民が自宅で利用する血圧計の測定データも、モバイルネットワークを通じて自動でアップロードされるため、生産年齢世代の健康増進にも貢献するシステムだ。
  また、IoT向け通信技術LPWA(注2)の1つであるSigfox(注3)を利用する押しボタンデバイスによって、あらゆる世代の相談や意見を集約する「よろず相談システム」も構築する。住民は相談や要望があればボタンを押すだけで、役場から電話連絡を受けることができ、内容に応じて適切な担当者へ相談することができる。役場は住民のニーズを把握することで、新しい生活支援の仕組みを作っていく。小谷村役場、KDDI、KCMEは、このシステムの構築により、全世代が住みやすい生活環境を整備し、人口の減少や新たな移住希望者を見据えた魅力的な村づくりを目指していくとしている。
 
〈概 要〉
(1)実施期間  1月下旬から3月23日まで(予定)
(2)目的  

<「生活支援情報連携システム」イメージ>

 
•よろず相談システム(押しボタンデバイス)
  Sigfoxを活用した押しボタンデバイスによって、気軽に日常生活での要望や相談ができる「よろず相談システム」を構築し、それらのデータを情報連携基盤に収集•蓄積する。蓄積データをもとに今後新たなサービスを検討していく。 

<押しボタンデバイス(Sigfoxマルチアダプタ)>


 
•情報共有ノート   
  役場、医療関係者、福祉関係者といった、村内外での他職種間で最新の情報共有を実現する。  

<情報共有ノート(画面イメージ)>


 
•健康管理システム(血圧計)
  住民からの血圧情報の提供を容易にする。役場•医療関係者は高血圧未治療者へ、データに基づきより的確な保健指導を推進する。

<血圧計>


(3)場所  小谷村
(4)対象  村民:65名
(5)役割
小谷村  住民向け「自分らしい暮らし実現」のためのICT基盤構築の推進
KDDI    ICT基盤構築業務の受託、各社の取り纏め
KCME  Sigfoxの ゲートウェイ機器やネットワークサーバ、デバイスの提供
日立製作所•日立ソリューションズ 「情報共有ノート」「よろず相談システム」の構築•運用 データセンシングの実施と運用
オムロン  ヘルスケア  血圧計の提供とクラウド(OMRON connect)の構築•運用  バイタルデータのシステム連携
  (注1)「本件は54(ごし)プロジェクトで活用するICT基盤構築業務」を受託したもの。「54プロジェクト」とは、小谷村が取り組む、生活支援をはじめとする様々な住民サービスを、関係者の連携や村民の自助•共助で行い「だれもが、最後まで、自分らしく、住み慣れた場所で、暮らし続けられる村」をつくる、小谷村独自の取り組みのことだ。参考:小谷村WEBサイト (http://www.vill.otari.nagano.jp/www/contents/1501033637363/index.html
(注2)Low Power Wide Areaの略。
(注3)SigfoxとはフランスのSigfox社が2009年から提供しているIoT用のネットワーク規格。日本では京セラコミュニケーションシステム株式会社が事業者となり、国内でのサービスを提供している。現在36カ国で展開され、2018年には60カ国に拡大される予定。※記載の会社名、製品名はそれぞれの会社の商標または登録商標だ。
 
  この件に関するお問い合わせはKCCSモバイルエンジニアリング(株)経営企画室 上野潤一まで(電話03-3455-4110 E-Mail:junichi-ueno@kcme.jp)。