2021.04.26(月)

<外食市場3月の動向>

コロナ禍の深刻化、1年経過も

終息の見通し立たず


   3月の全体概況は、緊急事態宣言が首都圏4都県で21日に解除され、市中への人出の回復がみられたものの、営業時間短縮要請は継続されたことから、全体売上げは対前年比97.1%、コロナ禍の影響がなかった前々年比では80.4%と、依然として厳しい状況となった。とりわけ酒類提供の時間を制限されたパブ・居酒屋業態への打撃は大きく、売上げは前年比60.3%、前々年比32.1%となった(以下カッコ内%は前々年比を表す)。
   業態別概況ではファーストフード業態のFFは、持ち帰り需要で堅調を維持する洋風が牽引し、全体売上げは103.9%(96.5%)となった。「洋風」は引き続きテイクアウトなど巣ごもり需要が堅調、売上げ109.1%(107.9%)となり、一昨年の売上げをも上回った。
  「和風」は持ち帰りとともに新メニュー展開が寄与したものの、店内飲食は影響を受け売上げは97.4%(90.3%)。「麺類」はランチのテイクアウトが堅調なところもあったが、ラーメン等では夜の営業短縮の影響が大きく、92.7%(75.2%)となった。
  「持ち帰り米飯•回転寿司」は、「回転寿司」が雛祭りや卒業等の家庭の慶事需要を取り込み、テイクアウトが好調、また店内飲食需要に回復が見られ、売上げは109.4%(97.5%)となった。「その他」は、「アイスクリーム」などで電子決済還元キャンペーン等が奏功したものの、営業時間の短縮により、売上げは前年比94.1%(85.1%)となった。
   ファミリーレストラン業態のFRは、宣言解除後も営業時間の制限が続いた影響で、コロナ禍で大きく減少した前年にも及ばず、売上げは前年比90.3%(70.4%)。「洋風」「和風」ともに、宣言解除後のランチや週末にやや回復が見られたものの、ディナーの戻りが悪く、売上げ「洋風」87.9%(65.5%)、「和風」92.4%(67.1%)。「中華」はテイクアウトが引き続き貢献し95.6%(85.0%)。「焼肉」は夜間営業時間の短縮が続き、売上げ90.3%(81.3%)となった。
   パブ•居酒屋業態は夜の酒類提供時間の短縮が続き、対前年比マイナスの売上げが続いている。休業している店舗もあり、「パブ•ビアホール」は売上げ68.2%(30.3%)、「居酒屋」は売上57.9%(32.8%)となった。時短要請の継続で業態全体の落ち込みは厳しい。
   ディナーレストラン業態では、前年は宴会需要が大きく減少したことに加え、立地する百貨店の休業等で売上げは大きく減少した。今月は営業時間短縮の中でも営業できたこと、宣言解除後に短縮時間が緩和されたことで集客が回復し、売上げは前年比101.1%となったが、前々年比(61.8%)と比べると依然厳しい状況となっている。
   喫茶業態は、地方を中心に徐々に客足回復の傾向がみられるようになったが、都市部ビジネス街などの戻りが遅く、売上げは93.4%(70.9%)となった。