2021.08.25(水

外食市場7月の動向(JF)

営業努力にもかかわらず

明るい兆しはいつ見えるのか

    一般社団法人日本フードサービス協会(JF=ジェフ本部東京都港区、赤塚保正会長)は協会会員社 を対象とした外食産業市場動向調査令和3年7月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて前々年同月比も算出し掲載している。

   7月の全体概況は、「緊急事態宣言」又は「まん延防止等重点措置」が沖縄、大阪、首都圏などに適用され、下旬には原則無観客五輪が始まり、持ち帰り需要が強みのファーストフード(FF)が外食全体を牽引した。全体売上げは前年を少し上回った(102.1%) ものの、コロナ禍前の一昨年の86.3%にすぎない。営業時間と酒類提供の制限が厳しい中で、パブ•居酒屋業態の深刻な状況は延々と続いている。
   業態別概況のファーストフード業態では、FFは全ての業種で前年よりは良くなり、全体の売上げは前年比108.6%、コロナ以前の一昨年比でも103.9%であった。「洋風」は五輪の自宅観戦でテイクアウトとデリバリーが増え、売上げは115.8%。「和風」は一部大手の積極的なメディア露出もあり、 売上げは101.0%となった。
   「麺類」は持ち帰り需要とイートインの戻りで全体売上げ103.4%。「持ち帰り米飯•回転寿司」も、暑さと五輪の自宅観戦でテイクアウト需要が増え、売上げは104.4%。「その他」は「アイスクリーム」が昨年より半月ほど早い梅雨明けを味方につけ、売上げは104.2%となった。
   ファミリーレストラン業態のFRは、営業時間短縮や酒類提供禁止をテイクアウトやデリバリーでカバーしきれず、売上げは“コロナショック”が始まった昨年の93.5%、一昨年対比では71.2%となった。「洋風」「和風」ともに五輪の自宅観戦で持ち帰り需要があったものの、売上げは「洋風」95.9%(一昨年比69.4%)、「和風」は91.3%(一昨年比66.2%)に留まった。「中華」は一部店舗は前年を超えたが売上は99.0%。「焼き肉」は酒類提供制限下で休業を選択した店も多く、売上86.5%に留まった(一昨年比は80.4%)。
   パブ•居酒屋業態は酒類提供の禁止あるいは時間制限が続き、「パブ•ビアホール」の売上げは57.4%、「居酒屋」は62.6%となった。パブ•居酒屋業態全体では前年の売上げの61.5%となったが、一昨年比ではわずか30.0%となる。
   ディナーレストラン業態はディナーに付き物の酒類提供や夜間営業の制限で、休業に追い込まれる店もあり、売上げは88.3%(一昨年比では57.8%)と依然厳しい。喫茶業態は緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の下でも、人流の減少率はさほどでもなさそうで売上げは105.8%となった(一昨年対比では72.1%)。

   この件のお問い合わせは一般社団法人日本フードサービス協会事務局 松崎、亀島、石井まで(電話03-5403-1060)。