2021.11.25(木

<外食市場10月の動向>

緊急事態宣言などの解除後も

課題は尽きず(JF=ジェ)


   一般社団法人日本フードサービス協会(略称:JF=ジェフ 本部東京都港区、赤塚保正会長)は協会会員社を対象とした外食産業市場動向調査令和3年10月度の集計結果をまとめた。「外食産業市場動向調査」は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、従来の前年同月比に加えて前々年同月比も算出し掲載している。
   全体概況は9月末には全国的に「緊急事態宣言」及び「まん延防止措置」の解除、10月下旬には首都圏1都3県や大阪府の時短営業要請の解除があり、好調が続くFF洋風の牽引で全体売上げはほぼ前年並みの99.5%、コロナ禍前の一昨年比では93.9 %にまで回復したが、パブ•居酒屋業態は酒類提供が再開されてもなお苦戦が続き、前年比で69.2%、一昨年比で46.5%であった。
   業態別概況ではファーストフード業態のFFは、堅調な「洋風」に支えられ売上は前年比105.4%、コロナ禍前の前々年比では107.5%となった。「洋風」はテイクアウト•デリバリーが引き続き好調で売上げ111.8%、コロナ禍前の一昨年対比では122.2%となった。
   「和風」は営業時間短縮や店舗数減少などから、売上げは98.1%となった。「麺類」は緊急事態宣言解除後も通勤客の戻りが鈍いビジネス街での集客に苦戦し、全体売上げ95.5%。「持ち帰り米飯•回転寿司」は、引き続き高いテイクアウト需要により売上げは前年比105.9%となった。「その他」は「アイスクリーム」のハロウィン限定キャンペーンやショッピングセンターの来客増などから、売上げ102.5%であった。
   ファミリーレストラン業態のFRは、緊急事態宣言などの解除後も地域によっては時短営業や酒類提供自粛の要請が続いたことから、全体売上げは93.5%(一昨年比84.1%)。またランチタイムの客足は戻ってきたものの、ディナータイムでは依然ふるわず「洋風」 の売上げは92.9%、「和風」は88.7%。一方「中華」は引き続きテイクアウト•デリバリーが貢献し、売上げ99.9%。「焼き 肉」は下旬にようやく営業時間が元通りになり、売上げ96.7%となった。
   パブ•居酒屋業態では、飲酒業態は酒類の提供制限により休業店舗が多かった前月に比べ、10月の制限解除後は店舗が徐々に再開されたものの、再開ペースは店によって異なり依然厳しい状況が続いている。
   パブ•居酒屋業態全体の売上げは前年比69.2%、一昨年比では46.5%となった。「パブ•ビアホール」の売上げは77.2%(一昨年比41.7%)、「居酒屋」は64.9%(一 昨年比50.3%)となった。
   ディナーレストラン業態は、営業時間の短縮要請が段階的に解除され個人客の戻りは見られるものの、大人数宴会や法人需要はまだ戻ってきていない。個人需要は郊外店舗を中心に客足が戻りつつあり、売上げは89.9%(一昨年比では74.0%)になった。喫茶業態は緊急事態宣言の解除などにより、繁華街立地やターミナル駅の店舗では客の戻りがあったが、一方でオフィス街は人が 戻らず、売上げは96.5%となった(一昨年対比では76.9%)。