八木澤商店の「奇跡の醤油もろみ」を使用したスイーツ「不来方(こずかた)バウム」
約3年ぶりに復活、2月12日から岩手県内のタルトタタン店舗と通販(全国発送)

 (株)タルトタタン(岩手県盛岡市、小松豊代表取締役)は、震災以降販売を休止していた、(株)八木澤商店(岩手県陸前高田市、河野通洋代表取締役)の醤油もろみを生地に練りこんで焼き上げたスイーツ「不来方(こずかた)バウム」を、2月12日(水)より岩手県内のタルトタタン5店舗と通販で発売再開している。

 岩手の健康素材、オリジナルのおいしさにこだわったスイーツを提供する洋菓子店タルトタタンと、創業200年を誇り、岩手県の素材を使ったこだわりの醤油を作り続けている八木澤商店のコラボレーションである「不来方バウム」が新発売されたのが、2008年の9月であった。同商品は地元を中心に愛される大人気商品として発売していた。しかし、東日本大震災で津波が陸前高田市を襲い、八木澤商店は工場や蔵はおろか、醤油造りの命である原料のもろみも樽ごとすべて流されるという甚大な被害を受けた。それを受け、「不来方バウム」も2011年4月より惜しまれつつの販売休止となった。八木澤商店はそんな絶望的な状況の中でも再建への強い意志を持ち、タルトタタンではその志に感銘を受け、「再建後、必ず不来方バウムを発売再開する」ことを両社間で誓った。その後、釜石市で流されたはずの八木澤商店のもろみが発見されるという「奇跡」が起きた。
 それから約3年の歳月を経て、発見当時わずか4㎏だったもろみの培養に成功、八木澤商店オリジナルの「昔の味」への復元が可能となった。今回発売が再開される「不来方バウム」は、そんな八木澤商店の想いがこもったこだわりのもろみを原料としたバウムクーヘンだ。醤油の素となるもろみは、洋菓子のバウムクーヘンに独特の深みを与えてくれる。
 口に含むとまるでシフォンケーキのようなふわふわの食感、しっとりとした舌触りとなめらかな口どけの後に、もろみの風味がふんわりと広がる。この優しく奥深い味わいは、八木澤商店のもろみでなくては醸し出せなかった。3年越しの想いとともに、岩手が生んだ奇跡の味を心から堪能いただける逸品となっている。
 参考までに「醤油もろみ」は、蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜ合わせ、大豆と小麦の成分を分解して醤油の味や香りを生む麹菌を加えて発酵させたものである。
 この商品名『不来方バウム』(不来方=こずかた)の内容量は、直径約14cm、約330g、1個の値段1,300円(袋入り)、1,500円(化粧箱入り)。ともに消費税込み。通販の場合、送料や手数料は別途かかる。賞味期限は製造日より10日(未開封の場合)。
発売元は(株)タルトタタン、販売店は岩手県内のタルトタタン5店舗のほか、タルトタタンホームページ、電話、ファックスでも通販注文可能(全国販売)だ。インターネットURLはhttp://www.tarte-tatin.jp 電話番号は019-626-1700受付時間/8:00~17:00、ファックスは019-626-1705受付時間/24時間。
 素材・製法・味わいを説明すると、素材については八木澤商店のもろみは、岩手県産大豆と南部小麦、国産塩を使用した無添加のものを使用。バウムクーヘン生地は岩手県産卵を100%使用するなど、岩手ならではの健康素材にこだわっている。
 製法において発売再開にあたり最もこだわったのは、「もろみの香り」を最大限に引き出すことであった。当初2013年11月ごろに発売再開を予定したが、もろみの熟成が足りず、香りが十分ではなかったため、ベストな状態になるまで待った結果、2014年2月の発売となった。醤油の価値を決めるのは、味、色、香りと言われ、中でも香りの吟味は最も難しく、醤油のプロだからこそ見極められる技だ。「不来方バウム」はもろみの「香り」が味の決め手となるため、そのクオリティは八木澤商店のプロの技に支えられている。
 また、まるでシフォンケーキのようなふわふわの食感の秘密は「二度焼き」である。一度で焼き固めずに、1日目にバウムの生地の内側を焼いてから一晩寝かせ、2日目に外側を焼いて完成させている。そのため、内側と外側の年輪の色が異なることもあるが、品質には問題はない。
 口に含むと、まるでシフォンケーキのようなふわふわの食感、しっとりとした舌触りとなめらかな口どけの後に、もろみの風味がふんわりと広がる。もろみが際立ちすぎず、味わいはプレーンで、バウムクーヘンそのものの美味しさにコクが加えられ、奥行きのある深い味わいとなっている。日本人に馴染みのあるもろみだからこそ、どこか素朴な懐かしさのある優しい味わいに仕上がっている。日本茶、コーヒー、紅茶にもよく合い、アイスクリームやホイップクリーム、季節のフルーツを添えたアレンジもおすすめだ。
 パッケージデザイン・ネーミング。パッケージは発売再開を記念してリニューアルした。醤油もろみをイメージした紫色のロゴマーク、パッケージデザインに、黒の格子模様は、かつての八木澤商店のシンボルだった、蔵の「なまこ壁」をイメージしている。
 商品名の「不来方(こずかた)」とは、タルトタタンのふるさとである盛岡の古くからの呼び名のこと。八木澤商店とのコラボレーションで生まれた岩手ならではのおいしさ、岩手の誇りという想いが込められている。パッケージの文字は、小学生の天才書道家として知られる盛岡市在住の高橋卓也くんが揮毫している。

八木澤商店の被災から事業再建、「不来方バウム」発売再開まで

 八木澤商店は1807年(文化4年)創業の醤油の名店で、岩手県の素材を使ったこだわりの醤油を作り続けて来た。過去には全国醤油品評会で、3度にわたる農林水産大臣賞を受賞しており、岩手県内はもとより、全国でもグルメ通の方やこだわりの飲食店などもこぞって取り寄せるなど、その味は多くの方に愛され続けて来た。
 しかし、東日本大震災により岩手県陸前高田市は壊滅的被害を受け、八木澤商店も蔵、製造工場が全壊、流失、200年以上にわたり受け継がれて来たもろみもすべて流された。目の前にあるはずの、蔵、樽、商品、すべてがない、社員の無事も確認が取れない、そんな状況の中、八木澤商店が下した決断は、「廃業はしない。必ず再建する。社員は解雇しない」というものであった。再建の目途も立たない中、社員を解雇することなく、全員を雇用、内定を与えていた2人の新入社員をそのまま採用するなど、「醤油づくりの火は消さない」という想いで復興と事業再建に向けてスタートを切った。
 その間、八木澤商店の河野和義会長と、タルトタタンの社長小松豊とでやりとりがあり、タルトタタンは八木澤商店の再建への強い志と勇気ある行動に大きな感銘を受け、「再建後、必ず不来方バウムを発売再開する」ことを両社間で誓い合った。
 そんな中、流されたはずのもろみが見つかるという奇跡が訪れる。震災前に醤油に含まれる酵母の研究のために、八木澤商店のもろみを一部保管していた岩手県釜石市の水産技術センターで奇跡的に4㎏のもろみが発見された。釜石市も津波の被害があったが、天井に近い機械の上に保管していたため、奇跡的に海水に浸からなかったため酵母が生きた状態で残っていた。まさに「奇跡のもろみ」であった。それから発見時4㎏だったもろみを、165㎏まで培養することに成功、2013年2月から稼働開始した岩手県一関市大東町の自社工場で製造を開始し、もろみをさらに熟成させた。
 「不来方バウム」発売再開にあたっては、醤油のプロである河野和義会長自らの舌での熟成の状態を確認、試作を何度も繰り返した。「不来方バウム」の深い味わいは、八木澤商店のもろみでなくては醸し出せない。香りが最高の状態である八木澤商店オリジナルの「昔の味」への復元が可能と思えるまで、妥協を許さず熟成を待った。満を持して2014年2月の発売再開に至った訳である。
 (株)タルトタタンは、みちのくの小京都と呼ばれる城下町盛岡市に本店を置くスイーツショップで、岩手の健康素材、オリジナルのおいしさにこだわったスイーツを提供し、地元や観光客の方々に愛されて来た。「ニュートンのりんご」「やわらか杜のバウム」などが看板商品で、オリジナリティあふれる商品を届けている。同社の代表取締役は小松豊氏。
本社所在地は〒020-0872 岩手県盛岡市八幡町13-34。
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 この件に関するお問い合わせ先は、(株)タルトタタン 担当者名小松まで
(電話019-626-1700、[Email]ytk125@tarte-tatin.jp)