「万博」に沸くイタリア•ミラノ市にて

和食と和酒のマリアージュを楽しむ
ー門上武司食研究所ー

 食の祭典「2015年ミラノ国際博覧会」に沸くミラノ市内にて開催された「和食と和酒を楽しむ会」。「日本料理アカデミー」並びにイタリアの食通、ジャーナリスト等の皆さんとの交流を通じて「和食」と「和酒」の可能性を探った(フードコラムニスト 門上武司)。

 5月1日(金)~10月30日(金)までの184日間、イタリア・ミラノで開催されている「2015年ミラノ国際博覧会(以下、ミラノ万博)」。ここでは「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに、約140の国と国際機関が参加し、パビリオンを展開している。
 その中で7月11日(土)20時、各国のVIP、オピニオンリーダーを招いて「ジャパンデーレセプション」が、ステッリーネ宮殿 ガーデン&テラス(ミラノ市内)にて開催。「日本の宴」をコンセプトに、ご来場の皆様方にバラエティ豊かな日本の食と酒がふるまわれた。
 この「ジャパンデーレセプション」の中核を担ったのが「特定非営利活動法人 日本料理アカデミー」だ。レセプション会場内では、当アカデミー理事長を務める「京料理『菊乃井』」の村田吉弘総合プロデューサー指揮のもと、京料理・蕎麦・天ぷら・寿司・郷土料理などがふるまわれた。また、日本酒についてもウェルカムドリンクとして用意された「松竹梅白壁蔵『澪』スパークリング清酒」をはじめ、日本全国の銘酒がゲストの皆様に提供され、和食と和酒のマリアージュを満喫した。
 この「ジャパンデーレセプション」に先駆ける事2日前の7月9日(木)。「日本料理アカデミー」理事長の村田吉弘氏(前出)監修のもと、和酒と和食のマリアージュを提案するパーティー「和食と和酒を楽しむ会」がミラノ市中心部ブレラ地区に位置する日本料理レストラン「SUSHI-B」(新森伸哉料理長)で開催された。
 ここには、現地ミラノの食通で知られる有識者・ジャーナリスト・現地日本料理の料理人など総勢30名が招かれ、京都から参加した「日本料理アカデミー」の料理人とともに、和食と和酒を通した交流、意見交換が行われた。
 料理に次ぐもう一人の主役、それは「日本酒」。それぞれの和食の魅力を際立たせるお酒には、これまでも同アカデミーの活動を支援してきた宝酒造(株)の協力のもと、「松竹梅白壁蔵」からタイプの違う3種類の日本酒が提供された。
 日本食といえば、寿司や刺身が一般的なミラノにおいて、日本を代表する京都の料理人と現地料理人のアイデアから生まれたオリジナルの懐石料理の数々と、このために用意された「松竹梅白壁蔵『澪』スパークリング清酒」「松竹梅『白壁蔵』<生もと(きもと、「もと」は「酉」へんに「元」、以下、生もと)純米>」「松竹梅『白壁蔵』<純米大吟醸>」とのマリアージュがもたらす、感動の声をレポートしていく。 
<2015年ミラノ国際博覧会関連事業「和食と和酒を楽しむ会」開催概要>
■ 名称 : 和食と和酒を楽しむ会
■ 日時 : 2015年7月9日(木)20:00~22:00
■ 会場 : SUSHI-B(日本料理レストラン、ミラノの中心部 ブレラ地区)
■ 内容 : 村田吉弘氏(日本料理アカデミー理事長、京料理「菊乃井」主人)監修のもと、現地日本料理レストラン「SUSHI-B」料理長の新森伸哉シェフが考案した、「和食」と「和酒」の新しいマリアージュを提案するパーティーイベント。現地料理人、現地有識者、ジャーナリストなどに加え、日本から参加した5名の「日本料理アカデミー」料理人を加え、総勢約30名が出席した。なお、当日は宝酒造(株)協力の元、「松竹梅『白壁蔵』」から3種類の日本酒がサーブされた。

ミラノ万博にみる、和食と和酒のマリアージュの可能性
日本館内にあるレストランでも、マリアージュが楽しめる
 5月1日(金)~10月30日(金)までの184日間、イタリア•ミラノで開催されているミラノ万博。ここでは「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに、約140の国と国際機関が参加、パビリオンを展開している。その中、東ゲートから徒歩5分の場所に「日本館」は位置する。 
 「日本館」では我が国の農林水産業や食を取り巻く様々な取り組み、並びに日本食文化における知恵や技などが、様々な手法を用いて展示されている他、特に世界中のゲストに注目を集めているのが、同館2階に位置する「本格日本食レストラン『美濃吉』」と「フードコート」だ。
 さらに、そのいずれもで和食とそれを際立たせる「松竹梅白壁蔵『澪』スパークリング清酒」をはじめとした和酒とのマリアージュを体験できる事から、ランチタイムは勿論の事、夕刻以降も人の流れが途絶えない、人気のパビリオンとなっている。

ジャパンデーレセプションでも感動の声
 そんな中、7月11日(土)20時、各国のVIP、オピニオンリーダーを招いて「ジャパンデーレセプション」が、ステッリーネ宮殿 ガーデン&テラス(ミラノ市内)にて開催。「日本の宴」をコンセプトに、ご来場の皆様方にバラエティ豊かな日本の食と酒がふるまわれた。
 この「ジャパンデーレセプション」の中核を担ったのが「特定非営利活動法人 日本料理アカデミー」である。レセプション会場内では、当アカデミー理事長を務める「京料理『菊乃井』」の村田吉弘総合プロデューサー指揮のもと、京料理・蕎麦・天ぷら・寿司・郷土料理などがふるまわれた。また日本酒についても、ウェルカムドリンクとして用意された「松竹梅白壁蔵『澪』スパークリング清酒」をはじめ、日本全国の銘酒がゲストの皆様に提供され、和食と和酒のマリアージュを満喫した。会場内で耳にした和食と和酒のマリアージュに関する意見や感想を、一部紹介する。
 イタリア人商社マンは「いま、和食と日本酒がこんなに合うことを知りました」。イタリア人経営者は「日本料理は健康的なのでよく食べる。日本酒は、熱燗しか飲んだことがなく、アジアのグラッパという印象だったが、今日の冷えた日本酒はこの暑い日に最高です。まだまだ日本酒のことは知らないし、イタリアでは知識を持っている人も少ないと思う」。イタリア人女性は「こんな泡の日本酒は初めて!『澪』はシャンパンよりグッドです」。

数々のマリアージュに、感動の声
 今回出席した参加者のほとんどが、はじめて和食と和酒のマリアージュを体験したにも関わらず、その経験を心から楽しんでいた。これは村田氏の監修のもと、新森シェフがイタリア人の口に合うようにアレンジした日本料理においても、日本酒が欠かせない存在ある事を裏付ける。またこれは一方で、シェフ同様にマリアージュを熟考し、日本酒に関する知識も丁寧に伝ながらサーブをしてくれたソムリエ・スタッフの存在があってこそ、成立した関係であるともいえよう。
 現在イタリアをはじめとするEU諸国において、日本食の浸透レベルに比べれば、日本酒の存在感はまだまだ希薄である。まずは日本酒に関わる知識の伝搬。次に、日本酒体験の機会を創る事が出来れば、和食と和酒のマリアージュを楽しむ方々がEU全土に拡大する可能性は大いにある、と確信した夜となった。

 最後に、今回和食と和酒のマリアージュを大いに楽しんだ皆さんからも発せられた、本格的な懐石料理、並びにその料理の魅力を引き出す日本酒に出会った感動の声を紹介する。
■グワルテロ・スポッティ氏 : レストランガイド『イデンティタ・ゴローゼ』のジャーナリスト 「これまで和食は寿司と刺身しか知らなかったが、今日の日本料理と和酒のマリアージュは素晴らしい。日本酒は今日飲んでみて好きになった。色々な料理との組み合わせの可能性があり、ミラノでも人気が出そうだ」
■ミケーラ氏 : フードジャーナリスト、ソムリエ
 「日本料理はプレゼンテーションにインパクトがあり、とても気に入った。また、今夜はいろんな味わいの日本酒が飲めて嬉しい。特に初めのスパークリング清酒はすごく美味しい」
■マウリツィオ・ベルテーラ氏 : フードマガジン『ガンベロ・ロッソ』のレストランジャーナリスト
 「今日の企画はとても新鮮でおもしろい。ミラノで日本料理といえば、ほとんどが寿司と刺身だが、本日は懐石料理が食べられて、とても感動した。イタリア人は生まれてからイタリアワインに慣れているため、日本酒を飲むことは少ないが、今夜は日本食には日本酒を合わせて飲むという面白い体験ができた。積極的に紹介したい」
■エマヌエーラ・バリラ氏 : パスタメーカー「バリラ社」経営者ファミリー
 「本日ここにいるのは素晴らしい名誉です。和食は今日初めて食べてみて、とても興味がわいた。日本料理と日本酒がどう相性がいいのか、実際に体験してみて、とても勉強になった」
■マリア・ジョゼ・ヴィスコンティ・ディ・モドローネ氏 : 貴族
 「和食には、これまで白ワインを合わせていましたが、日本酒とのマリアージュを体験できて、すごく満足。色々な組み合わせの可能性を感じた。ただし、ラベルが日本語だから困ります。ラベルを翻訳してほしい」
■ジャンドメニコ・ディ・マルツィオ氏 : イタリアの全国紙『イル・ジョルナーレ』文化記者
 「最初に日本料理がイタリアに入ってきたとき、日本の伝統を固く守った料理が、イタリア人の好みに合わず、人気がでなかったと思う。今は日本側もイタリア側も互いに勉強し合っているし、今日のような料理なら、イタリア人にも人気が出そうだ」
■市川晴夫氏 : ミラノで唯一ミシュランの星を獲得している日本食レストラン「IYO」のシェフ
 「本日はクオリティの高いお酒を飲める。日本から一流シェフが来ている。素晴らしい!そして、僕の感覚が70%くらいイタリア人になっていることを認識してしまった…(笑)」
 門上武司(フードコラムニスト)は、ー大阪外国語大学露西亜語学科中退。料理雑誌『あまから手帖』の編集顧問を務めるかたわら、食関係の執筆、編集業務を中心に、プロデューサーとして活動している。
 この件に関するお問い合わせ先は門上武司食研究所((株)ジオード内)担当:藤木まで(〒541-0046 大阪市中央区平野3-3-11 アーバネックス淀屋橋1106 電話06-6226-8586 Fax06-6227-8167)。