2024.06.04(火) |
北信保健所管内の高等学校で
カンピロバクターによる食中毒
発生
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北信保健所管内の高等学校で調理実習で調理し、喫食した食品による食中毒が発生した。患者は5月22日に調理実習で調理した食事を喫食した8グループ34名中の1グループ4名で、長野保健所が行った検査により、患者便からカンピロバクターが検出された。なお、患者は全員快復している。
この食中毒は5月27日の午後5時頃、高等学校から「調理実習に参加した生徒の内4名が下痢発熱等を呈している」旨の連絡が北信保健所にあった。北信保健所による調査結果によると、患者は5月22日に高等学校の調理実習で調理した食事を喫食した8グループ34名中の1グループ4
名で、5月23日午後1時頃から下痢、発熱、腹痛、頭痛等の症状を呈していた。
患者の共通食は調理実習で調理した食事のみでした。長野保健所が行った検査により、患者便からカンピロバクターが検出されたこと、患者の症状はカンピロバクターによる食中毒の症状と一致していたこと、患者を診察した医師から食中毒の届出があった以上のことから、北信保健所は調理実習で調理し、喫食した食事を原因とする食中毒と断定した。
参考までに患者が喫食した主なメニューは鶏肉のくわ焼き、小松菜のごま和え、澄まし汁であった。また、長野県内(長野市•松本市含む)における食中毒発生状況(本件含む)は、令和6年度(うち長野市•松本市)7件(2件)30名(2名)、令和5年度(うち長野市•松本市)10件(3件)205名(30名)となっている。
[特徴]
カンピロバクターは、ニワトリ、ウシ、ブタなどの腸管内に存在している。これらの家きん、家畜を食肉として解体する際に、処理された食肉の表面を汚染すると考えられている。中でも鶏肉は高率にこの菌に汚染されており、文献等によると市販されている鶏肉の汚染率は20~100%と言われている。
熱や乾燥に弱く、常温の空気中でも徐々に死滅するが、他の食中毒菌に比べて少量でも食中毒を起こすという特徴があるう。食肉を生や加熱不足で食べることにより発生することが多く、特に注意が必要な食中毒原因菌だ。また、野生動物などに汚染された沢水や井戸水などにおける消毒の不備による水系感染がある。
[症状]
潜伏期間は1~7日(平均2~3日)と長く、下痢、腹痛、発熱、頭痛、吐き気などの症状が現れる。
また、カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす「ギラン•バレー症候群」を発症する場合があることが指摘されており、重症化した場合には死亡することもある。特に幼児や高齢者など体の抵抗力が弱い方は、重篤な症状となることがあるので注意が必要だ。
[予防方法]
鶏肉などを調理する際は、十分に加熱調理し、生や加熱不十分な状態(鶏わさ、タタキ等)では食べないで下さい。また、生肉を扱った手やまな板、包丁などはカンピロバクターが付いている可能性があり、きちんと洗浄•消毒しないと他の食品を汚染してしまうことがある。
これらの生肉を扱った調理器具等は必ず洗剤でよく洗ってから、熱湯や塩素系の漂白剤などで消毒して下さい。焼肉などをするときは、生焼けに注意するとともに、生肉用の取り箸と食べるための箸を使い分けて下さい。沢水や井戸水を使用している施設では、衛生管理を徹底し、塩素消毒が実施されていることを確認して下さい。
この件のお問い合わせは北信保健所 食品•生活衛生課(担当)丸山、山口、竹節まで(電話0269-62-3106<直通> 0269-62-3105<代表>内線119 FAX0269-62-6036 E-mail hokuho-shokusei@pref.nagano.lg.jp)。