2018.05.29(火)

「進徳の森と中村弥六の関連資料群」

2017年度林業遺産に認定される!

長野県内の民有林としては2件目

  日本初の林学博士である中村弥六(やろく)氏が、出身地である伊那市高遠町に整備した「進徳(しんとく)の森」と、高遠町図書館に残されている同氏の林業関連の資料群が一般社団法人日本森林学会が認定する2017年度林業遺産に選定された。長野県内の民有林としては2件目の認定となる。


 
<認定された林業遺産の概要>
   中村弥六(1854-1929)とは、1854年、現在の伊那市高遠町に生まれる。1879年にドイツに渡り林政学や森林経理学などドイツ近代林業を学ぶ。帰国後は東京山林学校(現在の東京大学農学部林学科)の初代教授となり、1899年には日本初の林学博士の学位を授与される。 森林法の制定や林業教育の整備など、日本の林学や林政に深く関わり「近代林学の父」と呼ばれている。
   「進徳の森」「中村弥六の関連資料群」とは、1911年頃、豪雨で崩壊した山の復旧を目的として、中村弥六氏が周辺の土地を購入し、外国産の樹木を農林省林業試験所(当時)から取り寄せ移植した。その後、1960年に高遠町(当時)に寄贈され、藩校の「進徳館」にちなんで、0.6haの森林が「進徳の森」として保存されている。
   植栽後100年近くになる現在も、胸高直径が1mを超えるヒマラヤスギをはじめ、樹高35mのユリノキなど7種類34本の外国産の樹木が生育しており、外国産の大径木の生育状況が観察できる貴重な場所となっている。また、中村弥六氏の林業関係の活動に関する書籍が高遠町図書館に保管されており、林業界における当時の日本とドイツのつながりの一端等を知ることができる貴重な史料となっている。
(参考)
   一般社団法人日本森林学会が認定する林業遺産は今年度認定分を含め全国で31件。長野県関係では、他に旧木曾山林学校資料等、木曾森林鉄道、木曾式伐木運材図絵がすでに認定されており、今年度は本件のほかに、遠山森林鉄道資料、旧帝室林野局木曽支局庁舎が認定された。 ((一社)日本森林学会ホームページ: https://www.forestry.jp/activity/forestrylegacy/)
 
 
   この件のお問い合わせは県林業総合センター 指導部 (所長)宮宣敏 (担当)小山泰弘まで(電話 0263-52-0600<代表>(内線232)  FAX0263-52-0600  E-mail ringyosogo@pref.nagano.lg.jp)