2020.09.04(金

ファームノートHD、酪農生産のDX化を実現した牧場で

生産を開始、IoT•AI•自動化技術と酪農生産技術の融合で

高生産性を実現(ファームノート)

   酪農•畜産向けIoT(※1)ソリューションを提供する(株)ファームノートホールディングス(本社北海道帯広市、小林晋也代表取締役)の子会社である(株)ファームノートデーリィプラットフォーム(本社北海道標津郡中標津町、小林晋也代表取締役)は、北海道標津郡中標津町に自社牧場を立ち上げ酪農生産を開始したことを発表した。

自社牧場外観
▼酪農生産のデジタルトランスフォーメーションを実現
   ファームノートHDは酪農生産のデジタルトランスフォーメーション(以後、DX※2)を推進するため、子会社の株式会社ファームノートを通じて、クラウド牛群管理システム「Farmnote」と「Internet of Animals(※3)」を実現する牛向けウェアラブルデバイス「Farmnote Color」を開発、事業展開してきた。結果、ユーザー数は4,400生産者、累計利用頭数42万頭(参考:日本の飼養頭数380万頭)にまで成長をした。

自社牧場内観
   今回生産を開始する自社牧場は、さらなるDX推進のためにIoT•AI(※4)ソリューションの最適な活用方法のみならず、牛舎設計から搾乳等の自動化技術•牛の遺伝改良技術•疾病予防技術•繁殖改善など酪農生産技術を高次に両立させパッケージングした酪農生産のDX化を実証する第一号牛舎となる。
   特に小-中規模生産者の離農は著しく、過去10年間で戸数が30%減(※5)と酪農生産の基盤を揺るがしかねない現状にある。その原因として長時間労働、生産性、設備投資の重さなどが挙げられており、IoTやAIの導入など高効率な酪農生産の実現が期待されている。人と牛の動線を最適化するゲート

人と牛の動線を最適化するゲート
   この牧場には自社グループの製品群に加え、最新鋭の搾乳ロボットや糞尿処理機械を導入。牛舎のレイアウトには海外の設計思想を採り入れ、働く「人」と「牛」に配慮した、効率的で生産性の高い牧場を目指している。今後ファームノートDPでは自社牧場で培われた生産技術を広く酪農生産者に提供していく予定だ。デラバル社製 搾乳ロボット
▼新牛舎の特徴
従事者一人当たり、3倍の生産性を実現
これまで日本の牛舎では人と牛の最適な生産環境が設計レベルから追求されてはおらず、酪農業の長時間労働が改善されてこなかった。

デラバル社製 搾乳ロボット
   今回ファームノートDPは4dBarn社(フィンランド)の設計思想を取り入れ、自動搾乳ロボットを中心とした働く「人」にも「牛」にも配慮された生産性の高い牛舎を実現した。具体的には搾乳・繁殖・乾乳・分娩・育成・治療等の作業が一つの牛舎内ですべて完結するよう導線が設計されており、一般的な牛舎の4倍程度のソーティングゲートを設置•活用することで、作業者一名でも牛の移動が短時間でスムーズに行えるようになっている。その結果、牛舎内の総労働時間として1日あたり8時間程度、同規模の牧場の約1/3の時間で作業が可能になる見通しだ(同規模の一般的な総労働時間は24時間程度 ※中央酪農会議H30資料などから推計)。

デラバル社製 搾乳ロボット
2. IoT•AI技術の活用により高度なオペレーションを実現
   新牛舎ではFarmnote Cloud、Farmnote Color並びに自動搾乳ロボットを導入し、集積された生産データを分析。牧場業務オペレーションの高効率化を進めている。Farmnote  Cloudにより生産データを可視化、全ての従業員に分析結果が共有され、Farmnote Colorによって誰でも発情や疾病兆候といった牛の状態変化を発見できる。さらに搾乳ロボットによる搾乳作業の自動化や整備されたオペレーションマニュアルによって従業員の習熟度にかかわらず業務の再現性が向上し業務の最適化と従業員教育の効率化につながる。
 

Farmnote Colorを装着した牛
   生産データの共有に加えて、クラウドカメラによる牛舎状況のリアルタイムな観察と、ボディコンディションスコアカメラ(※6)による牛の栄養状態の自動分析によって、牧場管理者が遠隔から牧場の状況を適切に把握して従業員に指示を出したり、獣医師など専門家が遠隔から生産状況を確認して適切なアドバイスをすることも可能になった。
3. 牛舎のリノベーションにより建築コストを半減
   従来、酪農生産コストの約20%を占める減価償却費は主に牛舎建築コストが占めている。新牛舎では既存牛舎の改築というアプローチによって、同規模の牛舎を新築した場合に比べ約半分のコストで牛舎を建築した。リノベーションというアプローチは、酪農経営の競争力強化に繋げることができると考えている。
4. 環境負荷の低減
   新牛舎では固液分離機により糞尿を処理し、分離した固形分を敷料として利用することで、排出される家排泄物を30%程度削減できる。牧場から排泄される糞尿が減少することで、家畜排泄物による悪臭や水質汚染といった環境負荷の軽減と、敷料コストの圧縮という経済性を両立している。
 
5. 動物の快適性に配慮
   分娩前後の牛に配慮した牛舎設計、自動開閉カーテンによる暑熱対策、自動フットバスの設置による蹄病予防、常駐獣医師による疾病予防に重点をおいた牛群管理マニュアルの作成など、アニマルウェルフェア(※6)に配慮した飼養管理に取り組んでいる。
 
▼今後の展開
   ファームノートDPの実証農場において、酪農生産の要である牛舎・人・牛それぞれの視点でデータ化と自動化を進め、酪農生産のDXを推進していく。生産者戸数の減少が著しい小~中規模生産者の生産性向上への後押し、経験の有無を問わず誰でも酪農経営が可能な世界を目指し、酪農業界の発展に貢献して行く。

▼牧場概要
所在地:北海道標津郡中標津町
生産規模:搾乳牛110頭、全飼養頭数170頭
飼養形態:搾乳ロボット、フリーストール ・フリーバーン併用
▼牧場視察の受け入れについて
2020年10月以降に視察受け入れを開始する。視察申し込み等につきましてはファームノートWebサイトまたはファームノート公式SNSにて案内する。
▼ファームノートDPについて
   2019年8月1日に酪農生産を目的に設立。IoT・AI等のデジタル技術と酪農生産技術を組み合わせて、酪農生産のDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現を目指している。
会社名 株式会社ファームノートデーリィプラットフォーム
本社 北海道帯広市公園東町1-3-14
代表取締役 小林晋也
設立 2019年8月1日
※1 IoT:Internet of Things の略。ものとつながるインターネット
※2 DX:Digital Transformationの略。企業が、データとデジタル技術を活用して、ビジネスモデルの変革、業務プロセス、組織、企業文化を変革し競争上の優位性を確立すること(経済産業省資料から引用)
※3 Internet of Animals:の略。インターネットデバイスを動物に取り付けてそのデータを収集・分析すること。
※4 AI:Artificial Intelligenceの略。人工知能。
※5 ボディコンティションスコア:牛体への脂肪蓄積の程度から、牛の栄養状態を評価する手法。
      自社開発のボディコンディションスコアカメラによって牛体の画像から栄養状態を自動的に評
      価する。
※6 アニマルウェルフェア:動物の生活に関わる環境と関連する動物の身体的•心情的状態。快適
      な環境下で家畜を飼養することでストレス軽減や疾病減少につなげ、結果として生産性の向上
      や安全な畜産物の生産につなげる取り組み(農林水産省HPより引用)
 
   ちなみに(株)ファームノートホールディングス(URL: https://farmnote-hd.com/ )は農林業で、本社を北海道帯広市公園東町1丁目3-14に置く。電話番号は0155-67-6911、代表者は小林晋也氏である。