2020.03.05(木)

約500年前の大名のごちそうを再現「毛利の饗応食」

外国人向け提供が好評、県立広島大と三原市との

共同事業(県立広島大学)

   県立広島大学(広島市南区宇品東1-1-71、中村健一理事長兼学長)では、戦国時代の武将•毛利元就の約500年前の「饗応食」を再現するプロジェクトに平成29年度から取り組んでいる。1549年毛利元就が山口の大内義隆を訪ねた際に持参した饗宴用の膳の数々で,学生たちが古文書をひもといたレシピを一部再現。「SAMURAI GOZEN」として外国人観光客向けに振る舞うための試みが2月23日,三原市須波の古民家カフェ&宿「むすび」で行われた。
 
「SAMURAI GOZEN」~“カワウソ″は豚肉で代用
 三原市によるモニターツアーの一環で,訪日外国人向け旅行会社から欧米人5人の担当者が参加した。本来の「饗応食」は20膳近くを提供し,夜通しかけてもてなしたそうだが,この日は2膳を提供。食材としてかつて使われたキジ肉は鶏肉、カワウソの肉は豚肉、貝はムール貝で代用した。
   調味料では当時は使われていなかった砂糖はハチミツ、醤油は味噌で代用するなどしてひじきは味噌煮となった。参加した担当者たちは当時の饗宴のように日本酒とともに舌鼓。「素材の味が良く出ている」「毛利家の物語も解説してもらえればイメージが湧きやすい」「インスタ映えするには彩りが必要」といった意見が出され、概ね好評であった。

【本膳( 一の膳)】香の物(たくあん)、あへもの(卯の花いり)、焼き物(手羽先の塩焼き)、ふくめ鯛、大蛸(蛸の味噌焼き)、かまぼこ、塩 

【二の膳】 御汁(鶏肉の汁)、獺二大こん入(豚肉と大根の酢和え)、鯛の刺身、ひじき、ムール貝の酒蒸し 

<県立広島大学の取り組み>
 県立広島大では,地域課題解決研究として「毛利三兄弟のふるさと連携協議会」(安芸高田市、北広島町、三原市で構成)と「饗応食」の研究を続けてきた。三原市は外国人観光客の誘致を強化しており、「饗応食」が一般に提供できる仕組みの実現に向けて,関係機関と調整を進めていく方針だ。