2018.12.29(土)

大晦日は年越蕎麦と歳取り魚(鮭や鰤)で祝う

末長いお付き合いと健康で豊かな長寿人生を

   今年最後に「年越そば」を頂こうと、どこに食べに行こうかと迷っている。関西では「年越そば」だけで年を迎えるそうだが、この信州では大晦日の夕食は一年をねぎらい、新しい年を迎えるお祝いの意味もあり、昔から歳取りのお魚(新巻鮭や鰤)のご馳走や年越そばなどを頂く。そして年越すると、正月三が日は日本酒とビールとおせち料理といった具合である。
   「年越そば」頂く意味合いは各地方によってそれぞれだが、基本的には大晦日に縁起をかついで「蕎麦」を食べる習慣のことを言うのだろう。「蕎麦」は長く伸ばして細く切って作る食べ物なので、〝細く長く〟という「健康長寿」「家運長寿」などの縁起をかついで食べるようになったのが起源のようだ。
    私は「年越そば」に限らず、親しいお客様や友人と蕎麦店で食事をする時は「皆さまと今まで以上に末長いお付き合いを、また健康で豊かな長寿人生を過ごせるように…」と、いつも願って食べている。
   さて、1年前に公民館活動の料理教室で「信州そば切り香房」の森山幸一会長、滝沢正男さんら三名(全麺協有段者)を招き、「そば道場」と「試食会」を催したことを思い出している。東筑摩郡麻績村で作られた地粉の新そば粉を使っての料理教室だ。今回のそば道場の参加者は一六名。内戸隠のそば道場に参加した方が二名、残り全員は初めての参加であった。
   主催者としてこのイベントが成功するか否かは不安であったが、5つの大きなこね鉢にそば粉が開けられると、香り豊かなそば粉の風味が辺り一面に伝わり感動の声。ここから始まるそばの三たて(挽きたて、打ち立て、茹でたて)に参加者は興奮気味で、私はちょっと安心した。
   「そばの水回しは重要なポイントです」と言われながら、参加者は「あれぇ、本当に難しい」と5卓のキチン台から聞こえてくる。練る、延しの技に苦戦しながら、そば切りでは駒板を使い、先生方の倒し包丁(2ミリ)を真似るのだが、全員バラバラの太さの蕎麦切りとなっていた。
   試食会では先生方が作られた蕎麦つゆで、一人当たり3百㌘程食べたと思われる。蕎麦のほのかな甘い風味はいつまでも残り、舌も心も素直にしてくれた。その試食した蕎麦は3人の先生が作られた蕎麦。自分たちの作った蕎麦はそれぞれ自宅に持ち帰った。自宅で食した蕎麦の太さのばらつきは褒めようもないが、あのほのかな蕎麦の甘い風味は変わらなかったことを記憶している。
   蕎麦のコシと風味、食感がどうのこうのと蕎麦通の方は語るが、本当に美味しい蕎麦を食すといろいろの能書きはいらない。で、蕎麦専門店というか業務店で「あの蕎麦の味をもう一度」と願うのであるが、まずは無理だろう。でも不可能じゃないよね。「年越蕎麦」をどこに食べにいこうか?